次第に暖かくなってきましたね、調たかしです。

今日は本来ならば、会派と当局でみっちり予算の勉強会が入るはずでしたが、当局からの申し出で取りやめになりました。原因は言うまでもなく空港の案件です。

政策論で対立したからといって、当局がなぜそこまで感情的になられたのかは分かりませんが、私個人としては引き続き粛々と政策論として向き合っていきたいと思います。

さて、今日は表題の通り県と市の対応の違いについて書きたいと思います。県と市はこれまで50年間、福岡空港のターミナルを運営する「福岡空港ビルディング」に出資をし、地元財界と共同歩調で経営に関与してきました。

今後、民間委託が進むにあたって、空港の全体の運営を担うことになる空港新会社に対し、県は出資をする方針であるのに対し、市は出資をしないということで、対応が分かれています。

ここで、この出資問題が福岡県議会でどのように議論されてきたかを、公表されている資料をもとに検証してみたいと思います。

県議会では昨年の6月20日に、「空港、防災及び水・エネルギー等社会基盤調査特別委員会」に小川知事の出席を求めたうえで、民間委託後の運営権者への出資の是非を議論しています。いずれの出席委員からも出資の必要性について意見が出たことを受け、委員会として「県は出資すべし」との結論を出されました。そのうえで知事からは、県が出資をする意義について「地域の戦略方針、それと連携、協調することにより、我々地域のニーズにも合った安定的な事業の展開が可能になる」「民間委託の効果の最大化が図られる」「経営の最終的な意思決定の場である株主総会において、一定の発言力が持てる水準の出資比率を確保するとともに、重要な業務執行の徹底を行う取締役会で、我々地域の意見を反映することができる」旨の説明が重ねてなされたようです。意思決定の経過が明確に議事録から読み取れます。

一方の福岡市ではどうだったかと言うと、最初から出資しないという結論ありきで、こちらが何と言おうと聞く耳を持ちませんでした。

挙句、10月議会の第3委員会で、当局としては出資しない方針を任意報告。そこでも出資すべしとの異論が多く出されたのに、相変わらず聞く耳を持たず、「議会には報告して意見を聞いた」という帳面消しだけをして、国に対して「出資しない」との方針を回答しました。

このブログを読んで頂いている皆さまは、県と市、どちらが適正な手続きを踏んだと思いますか?私は県だと思います。福岡空港という九州の玄関口の運営に行政としてどう関与すべきかについて、県には当局の政策形成や議会との議論の過程を後世が知り得る資料がしっかり残っています。一方の本市では土壇場で当局と議会がもめたという報道ばっかりが残る…。本市の政策形成の過程を伺い知ることができる資料は、県に比べて圧倒的に少ないのです。

私が福岡市の対応で返す返すも残念に思うのは、今回の出資の是非については県知事が県議会に方向性を問うたように、市長にも是非、市議会に是非を問うて頂きたかったということです。そうしていれば、間違いなく市議会は、出資すべしという結論を出したでしょう。それがもし市長として本意ではなかったとしても、正面から議会と議論することを絶対に避けるべきではありませんでした。福岡空港は福岡市で最も重要なインフラのひとつだし、民間委託後の運営は全ての福岡市民にとって利害関係がある関心事なのです。

予算審議が近づいている中、私たちが向き合うべき課題はもちろんこの空港の問題だけではありません。しかし、2月議会での議論だけではまだ議会としての、議員としての責任を十分に果たせたと言えるのか、胸を張ることができない気がします。引き続き頑張ります。

※24日付のブログで、私は当日の産経新聞の朝刊記事に批判的な所見を書いていましたが、本日昼に記事を担当された記者の方から、「取材を尽くさずに記事を書いたような誤解を与える記載になっている」との指摘がありました。私としては当該新聞記事が空港新会社への出資の議論の本質ではない部分をクローズアップされたと感じたことに、読者として、当事者としての抗議の意味を込めて書いたものと説明しましたが、記者の方のご指摘はごもっともでした。問題の部分を一部削除して再度構成することが難しいため、24日付ブログの記事については全文を削除いたします。ご了承ください。