数え年が44になりました、調たかしです。初当選は32歳のときだったと思うと、あっという間に年齢を重ねた実感があります。今年で議員生活も12年目。3期目の任期の最終年。仕上げの年です。気を引き締めて仕事に取り組んでいきたいと思います。

さて、国会では昨日、岸田首相が施政方針演説を行いました。冒頭、「行蔵(こうぞう)は我に存す」と勝海舟の名言の一部を引用しました。勝海舟のこの言葉には続きがあって「毀誉(きよ)は他人の主張 我に与からず我に関せずと存じ候」と続きます。

行蔵とは出処進退のことで、これが「我に存す」とはつまり「自らの行いの責任は自分にある」ということでしょう。「毀誉」は褒めたりけなしたりすること。きっと世の中の批評のことを言っているのだと思います。一文の現代語訳は「自らの行いの責任は自分にある。批評は人がすることであり、私にはどうすることもできないものだ」といったところでしょうか。

岸田首相は就任後、コロナ対策に関する対応について何らかの方針決定を国民に伝える際に「私の責任において」という前置きをしてきました。オミクロン株が諸外国で流行しはじめた昨年末、我が国の政府が外国人の入国をほぼ例外なく禁止するなどG7諸国で最も厳しい水際対策を取ることを決めた際も、「私の責任において」と述べていました。

目下、残念なことにオミクロン株は全国的に感染爆発ともいうべき局面を引き起こしていますが、徹底した水際対策は一定奏功して、年間を通じて消費行動が最も盛んな時期の一つであるクリスマスシーズンや年末年始を落ち着いた雰囲気の中で迎えられたこと、ワクチンの3回目接種の前倒しや経口薬の確保など、オミクロン株の流行に備えた対応にあてる時間を稼げたことなど、この間の政府の対応は前向きに評価すべき点があると思います。もちろん、外国人の労働力や留学生の入国などの人流を必要とする分野の方々には大変な痛みを伴う措置であり、昨日の首相の演説では2月末を当面の期限とする考えが示されましたが、今後、出口戦略を早急に練らなければならない課題です。

ともあれ、「責任は私にある」と言って決断をするリーダーほど分かりやすいものはありません。その言葉に続くメッセージも、すっと耳に入りやすくなります。未曾有の国難であるコロナ禍は、ときどきの対応を間違えば多くの国民を不幸に陥れることになるので、責任の所在を明確にすることは自身の政権を短命で終わらせることにもつながりかねません。そのことを決して恐れずに舵取りを進めていくという強い決意がにじんだ施政方針演説でした。

勝海舟が明治維新後に残した談話をまとめたとされる「氷川清話」をかつて読んだことがあります。その中に「時勢が人を造る」という言葉があり、2期目の当選後に発行された「議会だより」に好きな言葉として書きました。古人の教えには今に通じる真理があり、時を経ることによって更に増した重みがあります。研鑽に励む令和4年であろうと自身に言い聞かせつつ、今年最初の記事更新でした。