昨日はオミクロン株による感染爆発によって生じた矛盾について書きました。今回は最近のコロナの流行に関する報道をもとに、ワクチンの効果に関する所見を述べたいと思います。

西日本新聞には定期的に、福岡市内の感染状況のまとめ記事が出ているのですが、26日の朝刊には次のような記述がありました。

今月17日から23日の1週間では、30代以下の感染が73パーセントを占めているということ。そして、感染者全体のうち実に86パーセントが、ワクチン未接種か2回目の接種から2週間以内(つまりワクチンの効果が得られる前)の人であることが紹介されていました。

この期間の感染者は7388人なので、大きな傾向をつかむための母数としては十分と言えるでしょう。ワクチンを2回接種することで、感染のリスクは大幅に抑えられているということが強く推測されるデータだと思います。

思えば、去年の東京オリンピック・パラリンピックの頃に感染が広がったデルタ株を中心とする第5波は、ワクチン接種が進むのと時を同じくして終息し、今回のオミクロン株の流行まではかなり平穏な生活が続きました。ワクチンにはやはり、一定の効果が期待できるのではないかと思うのです。

我が国では目下、3回目のワクチン接種がオミクロン株に有効である可能性が高いとして、医療従事者や重症化のリスクの高い高齢者などから順に、いわゆるブースター接種が進められようとしています。福岡市でも、当初は「2回目の接種から概ね8ヶ月が経った人から順に」としていた方針を次々に前倒して計画を立てていますが、これは十分な人的・物的な資源を確保したうえで、着実に進める必要があると感じているところです。

他方で、西日本新聞の25日朝刊の社会面には、昨年12月末までに全国でワクチン接種後に1400人が副反応の疑いで亡くなっているとの記事がありました。こんなにも多くの犠牲が出たのかとショックを受けました。

国も自治体も当初から説明している通り、あらゆる予防接種にはリスクが伴います。3回目の接種もきっと悲しみに暮れる人たちを生んでしまうのだと思います。それは身近な人にも、もちろん自分自身にも起こりうるのだということを、私個人としては覚悟をしているつもりです。

しかしながら、記事には接種との関係が疑われる死亡事例のほとんどが国の救済制度の審査にかかることなく「たなざらし」になっているとの指摘があります。このような状態では国が責任をもって積極的な予防接種の勧奨を行える環境が整っているとは言い難いと感じます。

素早い対処が求められるのではないでしょうか。