みなさん、こんばんは。
咳が止まらなくて困っていました、調たかしです。

3日は、TNCの報道番組に出演する機会を頂きました。
そのこともご報告をしたいのですが、また改めて書きます。

本日から、予算議会は平成24年度の予算を本格的に審議します。

その前に、取り急ぎ報告しておかなければならない案件があるので
そちらから先に書かせて頂きたいと思います。

今議会に上程されている条例案の中に、
「企業立地促進条例」というものがあります。
ものすごく簡単に説明すると・・・
福岡市が現在持っている企業立地交付金の制度を
24年度から4年間に渡って最大6倍に引き上げる
というものです。

交付金引き上げは、対象となるエリアが決まっていて
「アイランドシティ」「香椎パークポート」など3つの重点地区に
工場や研究施設などを建設した場合に限られます。

これだけ見ると、「別にいいんじゃないの!?」という気がしますが、
私は個人的にこの条例案にすごく引っかかるところがあります。

今までの企業立地交付金については、福岡市は条例を定めずに
市議会の予算承認のもとに市当局の要綱に沿って出していました。

それだけにまず引っかかるのが、「何で条例が必要なの?」という点です。
たとえ金額が6倍になろうとも、立地交付金を増やすことは
別に条例がなくてもできることなんですが。

そこで詳しく条例案を見てみると、違和感を感じます。

条例案には、4年間で一体どれくらいの交付金を出すのか、記載がありません。
もちろん交付金の元になるのは、皆さんの税金です。

必要もなければ、いくら使うのかもわからない。
これでは、市民の皆さんが議会で可決された後に条例を見ても
「なんだこりゃ!?」と思うだけのような気がします。

では、条例案を出した目的について市の説明はどんな内容かというと
「企業立地促進に向けて本気度を示す※1」とのこと。
今までも本気でやってたはずなんですが・・・。

ここまでは、いわば前置きです。知って頂きたいのはここからの内容です。

条例案には書かれていませんが、福岡市当局は4年間で使われる
立地交付金の額を、150億円余りと見込んでいるといいます。
1年間に40億円近い税金が、アイランドシティの土地分譲を主な目的に
つぎ込まれることになるのです。

40億円というのは、福岡市の財政規模からいって決して小さくない額です。
でも、何度も言うように今回の条例案には金額が書いてないので、
「年間に40億円も使って大丈夫なのか!?」ということは
議会では全く話題にしなくても、条例案を可決できるんです。

私はこの条例案が、アイランドシティ事業について
大きな方向転換を意味するものであると捉えています。

アイランドシティ事業は当初、「1円も税金を使わない」と言って始まりました。
しかし、市はこれまでにも税金で債務保証を行ったり
市の公共施設のための用地を購入するなど
少なからぬ税金を投入してきた事実があります(※2)。
ただ、市としてはあくまでこうした投資には
消極的な姿勢だったといえます。

それでは、「本気度」を示すという今回の条例案は
これまでの消極姿勢を撤回して
「アイランドシティ事業には、今後は税金による積極投資を行います!」という
方針転換の宣言に他ならないのではないでしょうか。

そうであるならば、あまりにもこの条例案に関しての市の説明は
不十分としか言いようがないし、それゆえに私の立場でいえば
是非を判断できる情報が少なすぎるというのが現状です。
しかも、こうした情報は市民の目に触れる公開の場、
つまり本会議や委員会などの場で当局から説明されることが
不可欠だと思います。

今持っている材料だけで、私個人の条例案への賛否を問われれば
間違いなく「反対」です。積極投資の果てには、アイランドシティ事業へのプラス要素、
ひいては福岡市民に還元される利益があるのか?
そして、そのプラス要素ないし利益は税金による投資を上回るのか?

このことについて議論が尽くされて、「大丈夫だ」という相当程度の
確信が持てなければ賛成できないというのが私の立場です。
とはいっても議会は数ですから、現在の情勢では結論として条例案は
難なく可決されるのだろうと思いますが、これが何もなかったかのように通ったのでは
それこそ議会の存在意義が問われてしまいます。

きょうからの各会派の質問の中で、市長、担当局の答弁に
注意して耳を傾けながら、意見を言える場では発言していきたいと思います。

※脚注1
アイランドシティなどが国の国際戦略総合特区などの指定を受け、
国からの投資が見込まれる中で、まずは自治体が「本気度」を示す
必要があるということを言っているようです。

※脚注2
これまでの用地購入の全てを非難する趣旨ではありません。
例えばこども病院のアイランドシティ移転には明確に賛成です。