今から21年前、小泉純一郎首相による郵政解散のとき、私は地元の民放で記者をしていました。「郵政民営化に賛成なら、自民党の公認候補に投票を」。小泉首相が来援する演説会場は、どこに行っても黒山の人だかりでした。それ以来、「もうこんなに聴衆が集まる選挙は、二度とないんだろうな」と思っていたのですが…。

1月30日金曜日の午後6時過ぎに、警固公園と周辺の歩道まで埋め尽くした聴衆は、少なく数えても1万人超。高市早苗首相が政権への信任を争点に打って出た今回の総選挙は、おそらく郵政解散以上に全国津々浦々の人々を動かしたのではないかと思います。

選挙の熱狂が終われば、現実に戻って明日からの国政が大事です。

高市内閣では、政府が17の重点分野を選び、積極的な後押しをすることで、民間の投資意欲を高めようという取り組みを始めています。我が国は人口が減少局面に入っており、将来的な市場の縮小が確実に起きることから、企業の国外生産や国外投資にも拍車がかかり、これが円安の流れの大きな要因にもなってきました。

企業が国内で設備投資をし、また海外からも投資が呼び込めるようになれば、為替は円高傾向に振れるでしょうし、多くの資源や食料を輸入に頼っている我が国のことですから、物価高にも一定の歯止めがかけられるはずです。

他方、積極財政のかけ声のもとで、財源を国債に頼りすぎるようなことがあれば、近年上昇に振れている長期金利のさらなる上昇を招く恐れがあります。OECD加盟国の政府債務残高が適切な水準かどうかは、各国の政府債務をGDPで割った数値で比較されますが、我が国はこの数値が最も高い、つまりは最も悪くなっています。もし今後も我が国が政府債務を増やさざるを得ない局面があるのだとしたら、その投資はできるだけすぐにGDPを膨らませる(=国民を豊かにする)ものでなければなりません。

積極財政路線で国内投資を増やし、その中で円安の流れも是正しながら、国債の金利高騰を招くことなく国家の運営をする。文字に起こして書くことは簡単ですが、並大抵のことではありません。そしてこれが、今回の総選挙で多くの有権者の支持を得た、高市内閣の施政方針、「責任ある積極財政」の中身なのだと私は解釈をしています。

大事なことは、この難しいチャレンジに向けて、当選された自由民主党の候補者の皆さんが、明日からどのような役割を果たすかです。私はもとより、政治が1人のリーダーの登場のみをもって劇的に変わることなどあり得ないと思っていて、より重要なのは誰がどのように周りで支えるのか、つまりは想定されるリスクを回避するために周りがどれだけ知恵を絞り、政策の実現のために体を張るのかだと思っています。

今回の熱狂と選挙の結果を見れば、有権者の多数意見は高市首相とその施政方針を選んだことは明らかです。これで当面、衆院選は行われないでしょうし、少なくとも再来年の参院選まで国政選挙はないでしょう。明日からの国政で、有権者の付託にこたえる結果を出すことを至上命題として、自由民主党の候補者の皆さんがそれぞれに奮闘されることを切に祈ります。

開票日のこんなに早いタイミングで、大勢が明らかになった選挙はかつてなかったように思います。これほどの国民の期待を落胆に変えることは、決してあってはならないし、それこそ本当に恐ろしいことだと思います。

私も自由民主党に籍を置く地方議員として、候補者への支持を呼びかけた責任を自覚しつつ、政権が掲げる成長戦略とリンクした福岡市の施策展開について、まもなく始まる令和8年の予算議会から、政策提言をしていきたいと思っています。