13日に発出された緊急事態宣言を受けて、私が所属する自由民主党福岡市議団は14日、新型コロナウイルス感染症対策に関する第4次の提言書を提出しました。

私は会派で政調会長の任にあることから、提言書の起案を担当しましたが、起案にあたり過去3回の提言と比較して、大きく2つのことを意識しました。

一つは、コロナ禍の長期化に伴う生活困窮の広がり。福岡県内の完全失業率は令和元年度の平均が2.3だったのに比べて、昨年10月では3.1にまで悪化しました。この間に職を失ったのは比較的に給与水準の低い非正規雇用の方が多く、とりわけ女性が多い傾向にあります。

一方で、昨年の春先以降に全国で多くの方々が利用した、生活困窮者向けの家賃支援制度(住居確保給付金)の延長期限である12ヶ月が間もなく到来することや、同じく生活困窮者向けの貸付制度では、6ヶ月の据え置き期間を経て償還(返済)が始まり、頭を抱える人が出始めています。

我が国で失業率が1パーセント上がると、自殺者が月間で400人増えるという統計がありますが、このことはコロナ禍による雇用情勢の悪化が、新型コロナウイルス感染症そのものの危険性を遥かに上回る脅威となり得ることの証左です。

今回の第4次提言では、コロナ禍で職を失った方々、高校・大学新卒予定で就職内定を取り消されたり、卒業後の進路が未定となっている若者をはじめ、医療・介護の現場、ゴミの収集や建物の清掃、或いは各区の保健所などで奮闘する市職員などが、「前向きな気持ちで頑張ろう」と思えるようなメッセージ性のある支援策を打ち出すよう求めました。

二つ目は、飲食店以外の業種への支援。首都圏の一都三県での緊急事態宣言の前後から、注目を集めてきたのは飲食店への時間短縮要請です。酒類の提供は19時まで、20時には閉めてくださいという話ですので、実質的にはほとんど営業はできません。このため、一律で1店舗あたり1日6万円の協力金を国が出すこととなりましたが、特に市街地の店、客席の多い店、従業員の多い店などでは到底足りないという声もあれば、小規模な店では、1日6万円の「粗利」がコロナ禍以前よりも高いというケースもあり得ます。

後者のようなケースはどうしても目立ってしまうため、緊急事態宣言の発出後、飲食と全く関係のない業種の知人などからは、「飲食以外には何もないの?」という疑問の声が寄せられました。

緊急事態宣言の目的は、人の移動や、人と人との接触を抑制することにあります。影響を受けるのは飲食店だけではありません。長引くコロナ禍で地場の経済に蓄積したダメージは既に相当なレベルに達していて、さまざまな業種で「ウチも苦しいのに…」という声が上がっています。

こうした声を意識して、今回の4次提言では、飲食店以外の業種で、売り上げが3割以上落ち込んだものに、金額こそ10万円から15万円と少額ではありますが、現金支給を行うべきであるとの内容を盛り込んだほか、家賃支援にも踏み込むよう求めました。これらはともに、昨年の緊急事態宣言にあたって、福岡市が全国の政令市に先駆けて取り組んだ中身の「再現」を求めるものです。

自民党市議団の第4次提言(pdfファイルが開きます)

これから時間の経過とともに、飲食店以外の方々からさまざまな声が寄せられることになると思っています。来週開会する通常国会では、国の第3次補正で地方に分配される1.5兆円の臨時交付金が可決される見通しです。この流れで福岡市に分配される交付金については、飲食店以外の事業者のことも考えて、全部使い切る必要があると思います。

緊急事態宣言の期限が2月7日であることを考えると、今こそ臨機応変さが求められます。個人的な思いですが、市長には今すぐにでも補正予算を組んで頂き、臨時議会を開いてでも緊急の対策を取ってもらいたいと思うのですが、遅くとも2月の定例会に向けて、会派の提言がしっかりと生かされた補正予算案が市長から提示されるように、要望と交渉を続けていきたいと思います。