昨日の投稿の終わりに、「明日の更新では雇用対策について」と書いたのですが、昨日の夜から新たな動きがありましたので、予定を変更します。

本日、私が所属する自由民主党福岡市議団は、目下の緊急事態宣言で時短営業の要請を受ける事業者(飲食店)以外の店舗を対象に、福岡市が現金支給による独自の支援に取り組むことなど求める「追加緊急提言」を提出しました。内容については、以下でご覧いただけます。

追加緊急提言」(PDFファイルが開きます)

ここに至る経緯をご説明しますが、13日の市長会見では今回の緊急事態宣言を受けて、飲食店へのテイクアウト支援やテレワークの導入支援など、15億円規模の市独自の支援策を講じることが発表されました。この際、財源としては「去年の緊急事態宣言時に講じた市独自の支援策で余った予算をかき集めて」という趣旨の説明があっていましたが、会派としては「何をどのようにかき集めたのか」を精査していたところ、昨夜の段階になって、現在でも更に30億円もの「余った予算」(執行残と呼ばれます)があることが判明しました。

この「余った予算」は、もともとは新型コロナウイルス感染症に関連する諸問題に福岡市が対策を講じるための財源として、今年度の国の1次補正・2次補正で措置された「臨時交付金」であり、福岡市はこれらを財源に、様々な独自の支援策を打ち出してきました(市の独自財源である財政調整基金を活用して支援を打ち出し、事後的に国からの臨時交付金を充当した、というのが正確な説明かとは思いますが)。その独自支援策で組んだ予算と、実際に事業者などから申請があり支給した給付金等の差額(=執行残)が積み重なったものが、実は30億円あった、ということです。

イメージがわかない方が多いと思うので、具体的な独自支援策ごとに、執行残が大きかったもの(1億円以上)をまとめます。

A.家賃支援    予算額 76億円  執行残 35億円
B.休業要請対象外店舗への支援    予算額 14億円  執行残 4.6億円
C.デリバリー支援   予算額 4億円  執行残 3.2億円
D.宿泊施設への支援    予算額2.7億円  執行残 1.5億円

AからDの執行残の合計で、44.3億円になります。このほかの細かいものも合わせると、45億円になったとのことです。

それぞれの支援策は、去年の緊急事態宣言の発出と、その後の期間の延長にあたって、取り急ぎ多めに予算を組んで(途中で足りなくならないように)走り出したこともあり、特に家賃支援については「想定よりも申請者の家賃平均が低かった」などの理由で、かなり多くの執行残が出ていました(詳細が判明したのは昨夜のことですが)。

今回の緊急事態宣言にあたり、13日に発表された市独自の支援策に使われる15億円も、これらの執行残から支出されるのですが、総額45億円から15億円を引いた残りが30億円なので、「まだ30億円が手元に余る」ことがご理解頂けるかと思います。

より細かい話になりますが、AからCについては、経済観光文化局所管の「商工費」という費目に入っています。ここにお金が入る際には補正予算案が組まれて市議会の議決を受けました。そして、福岡市が商工費に関連する施策を今年度中に実行する場合には、商工費の範疇に収まる内容であれば、再度の議決を経ることなしに余りのお金を使うことが裁量で認められています(予算の流用)。13日に発表された15億円の支援策が臨時議会等を経ずに実行できるのも、この論法に従っています。ということならば、まだ手元に残っている30億円も、議会を招集することなく市長の裁量で、商工費の範疇を出ない経済対策のために今すぐ使うことができるのです。

今回の緊急事態宣言を受けて、自由民主党福岡市議団に所属する各議員には、国の時短協力金が支給される飲食店以外の事業者への支援を求める声が届いていました。コロナ禍は既に長期化しており、地場中小事業者は疲弊しきっています。ですから、福岡市単独で金額として大きなことはなかなかできないのですが、「何とか前を向いて頑張って欲しい」というメッセージを発信する意味で、幅広い事業者に今すぐ支援を届ける必要があると考ています。私たちは緊急事態宣言の翌日である14日に提出した第4次提言に、「時短要請対象外の店舗への支援」を盛り込んでいました。この支援策の基本的な考え方は福岡市が去年の緊急事態宣言時に実施した、「休業要請対象外店舗への支援」の制度設計を念頭に置き、「法人経営で15万円、個人経営で10万円を1回限り支給する」という内容としました。

そして今日の追加緊急提言では、30億円もの財源があることを会派として正確に認識したことを受けて、第4次提言に盛り込んでいた「時短要請対象外の店舗への支援」について、重ねて、直ちに実行することを求めました。また提言の第二点としては、国の第3次補正で予定される総額1.5兆円の臨時交付金のうち、福岡市に交付されるもの(金額・交付時期ともに未定)について、市民生活や地場経済を支えるための支援に速やかに使うことができるよう、2月17日開会の定例会を待たずに臨時議会を招集する必要性について、検討を促しました。

誤解がないように付け加えさせて頂くのですが、私たちの会派は「時短要請対象外の店舗への支援」だけを緊急に必要なものと捉えているわけではありません。例えば、今回の緊急事態宣言にあたり国が打ち出した飲食店への時短協力金(1日あたり6万円)や、食材等の納入事業者に対する支援(法人40万円、個人経営で20万円)が、農業や漁業の生産者に対しては届かない(まれに、生産者が直接飲食店に納入をしているケースがあり、これらは納入事業者への支援と同じ扱いになるようです)ことはバランスを欠くのではないかと思っていて、第4次提言には生産者支援の実施をしっかりと盛り込みました。しかしながら、非常にテクニカルな話になるのですが、「30億円の余り予算」は経済観光文化局が所管する「商工費」の範囲内の施策に限ってすぐに使うことができる性質のものであり、農林水産局の所管となる生産者支援に仮に充てるとすれば、少なくとも議会を開いて補正をするという手続きが必要になります。

同様に、コロナ禍により生活困窮に陥っている方々の支援にこの30億円を振り向けたいと思っても、議会での議決を経なければできません。あくまで今回の緊急追加提言は、「その気になれば今日にでも発表できる」という視点で、一つに的を絞って提出したものだということを、特に強調しておきたいと思います。

緊急に打たなければならない対策は山ほどあります。いかに急転直下の緊急事態宣言であったとはいえ、市民生活や経済活動を支えるための支援策が早くても2月定例会における議論となることが、果たして市民の負託に応える対応と言えるのか…。今がまさに、正念場です。

今日は予定を変更しましたが、次回は雇用対策について投稿しようと思います。