年末の餅つきラッシュも一段落、調たかしです。

さて、先日に引き続き、12月議会で一般質問に登壇した際の
発言内容についてご報告します。

まずは、この問題について議会で質問しようと思ったきっかけから。

それは今年の秋に地域のある役員さんから伺ったお話でした。
「近くのアパートに、知らないうちによその地域から生活保護の人が入って
 孤独死してはじめて気付くケースが近年数件続いている」

私が育った金山校区、七隈校区は福岡大学と近く、
以前は学生さんが住んでいた古いアパートが多く見られます。
そういった部屋に単身の生活保護受給者の方がいつの間にか入居し
複数の孤独死事案が起きているというのです。

近隣の町内で話を聞いてみても、やはり同じようなことが起こっていました。

なぜ、こんなことが続けて起きるのか?
調べてみると、背景には生活保護にあたっての「転居指導」があることが分かりました。

生活保護の制度では、受給者の住居の家賃に上限が設けられており、
福岡市の場合では単身者で3万7千円となっています。
家賃がこれを超えている場合は、ケースワーカーが
受給者に転居を指導することになります。

私が地域の役員さんから聞いた孤独死のケースでは、
いずれの方も転居してきた際に
近隣に挨拶をするでもなく、または町内会に入るでもなく、
全く地域コミュニティとの接触を持たずに亡くなっていました。

孤独死という結果は、亡くなった本人だけでなく
近隣の地域にとっても極めて不幸なものです。

12月議会での一般質問の目的は、こうした問題の実態を明らかにし、
行政に対応を促すことにありました。

全国の生活保護の受給者は200万世帯を超え、過去最多。
働けるけれども仕事がないために保護に頼らざるを得ない、
いわゆる「その他世帯」の急増が大きな問題になっています。

こうした中、
もともと人員が十分に確保されているとは言えない福岡市のケースワーカーは
働ける受給者の就労相談、自立支援への対応はもちろん
不正受給がないかの監視など実に多くの仕事を抱えています。

「単身受給者の孤独死防止のために見守りをすべきだ!」という要望を
当局に押し付けることでは何の解決にもつながらない。
こうした考えに立って、私は最終的に以下の2点を要望しました。

① ケースワーカーの拡充に努め、現場の対応能力を向上させること
② 単身受給者の見守りについて、「地域コミュニティの力」に頼ることを検討すること

①については、厳しい財政事情もある中でのことなので、
「努力する」という答弁が精いっぱいでしたが、②については、
「単身の保護受給者が、もっと地域との接触を持てるよう
指導や助言を行っていきたい」旨の答弁がありました。

財政難の時代を何とか乗り切っていくために
「民間でやれることは、民間にお願いする」
「地域でやれることは、地域にお願いする」
という方向性だけは、ブレずに維持しなければと思います。

これからの社会で問われるのは「官」ではなく、「民」の力、
民間企業をはじめ、地域の自治会、町内会、NPOなどの総力だと思うのです。
そして、政治・行政の役割は、こうした民間・地域などがより力を発揮できるように
制度や支援策を考えて実行に移していくことだと思います。

孤独死の問題解決のカギは、「地域力」の向上です。
どういった制度、支援が求められているのかを役所にしっかり提言できるよう
引き続き研究したいと考えています。