市役所への登庁には環境に優しくて便利な地下鉄を利用しています、調たかしです。

本来ならば令和2年度の開業予定が陥没事故のために遅れていた地下鉄七隈線の博多駅延伸区間ですが、令和5年の3月に開業見通しとなることが今年に入って発表されました。

今日は延伸に先立って今月9日から導入される新車両の見学会が開かれましたので、会場の橋本車両基地に足を運びました。まずは全容から。

ブルーのラインは空の色のイメージだとか。七隈線から空港へのアクセスが格段に良くなるので、空色を採用したようです。車両内部についても現行と比較して色々な工夫がありました。

七隈線は沿線の各駅の階段やエスカレーターが先方や後方にあるため、先頭車両や一番後ろの車両が混雑しやすくなっています。このため、新車両では両端の車両は座席数を減らし、混み合った際に立つスペースがより広く確保されています。

また、ご高齢の方や障がいをお持ちの方が座りやすく立ちやすいように、優先席の黄色いシートは他のシートよりも6センチ高く造られており、手すりも備えつけられています。七隈線開業から17年、従来の車両の課題を捉えて改良しようという新車両に込められた意欲は、斜め上から大変恐縮ではありますが好感が持てました。

七隈線沿線にお住まいの市民の皆さまが長らく心待ちにしてきた博多駅への延伸まで1年と少し。交通局によるとトンネルは昨年末までに全工区で貫通していて、現在は博多駅や中間駅となる櫛田神社前駅などの地下構造の工事が進められているとのこと。

私はあまり出張が好きではなくて、滅多に新幹線や飛行機を利用する機会はないのですが、それでも、これらへのアクセスが格段に向上することへの期待は非常に大きく、来年の開業を心待ちにしているユーザーの一人です。

さて。天神南〜博多駅の間がつながることにより、空港線と七隈線は博多駅で乗り換えができるようになります。これに伴い、延伸区間の開業後は天神南〜天神の間で現在適用されている乗り換えのルールに変更が生じるとともに、利用者にとっては値上げ、または値下げになるケースが出てくることになります。

たとえば七隈線沿線の駅から天神南駅まで乗車し、天神駅で乗り換えをするケースでは、これまでは一旦改札の外に出るものの、2時間以内に乗り換えをすることで新たな初乗り運賃がかからないようになっていました。少しややこしい話なのですが、天神駅と天神南駅を同一の駅とみなす運用がなされているからです。

しかしながら、延伸後は空港線への乗り換えは博多駅で可能になるため、天神駅と天神南駅を同一とみなす運用は廃止されます。つまり天神南駅で降りて天神駅まで歩き、空港線に乗り換えた場合には、改めて初乗り運賃を払わなければならないのです。

いま例示したような利用をこれまでされていた方については、延伸後は遠回りにはなるようですが博多駅まで乗車して、空港線に乗り換えるのが一般的な乗り換えになるというようにご理解を頂ければと思います。

ただし、【七隈線沿線からの目的地が中洲川端駅だった場合】を考えるとわかりやすいのですが、今までは天神南駅=天神駅から1駅で中洲川端まで着いていたものが、博多駅を経由することになれば天神南〜櫛田神社前〜博多〜祇園〜中洲川端と、間に3駅も余計に入ってしまい、それだけ乗車距離も長くなります。つまり延伸後の運賃は値上がりする方向になるのです。

こうした延伸区間の開業による実質的な値上げについて、交通局では1年間の移行期間を設けて、運賃の値上げ分の半額をはやかけんのポイントで還元する措置を取る方針です。20円値上がりすれば、1回乗車ごとに10円が後日ポイントチャージできる、ということです。

また定期利用者については、従来通り天神南〜天神間を歩いて乗り継ぎをすれば、本来ならば空港線の初乗り運賃相当の値上げがあるべきところですが、交通局では値上げをせずに据え置く(つまりこれまでの定期料金と同一料金)の特別定期を、通学用は延伸から3年間、通勤用は延伸から1年間、販売する方針です。

このような運賃体系となることによって注意が必要なのは、例えば七隈線と空港線をまたがる往復の利用を通常の「はやかけん」でしていた利用者にとっては、今後は地下鉄全線が1日乗り放題になる「1日乗車券(大人640円)」を利用する方がお得になるケースが出てくるということです。特に、これまで通りの天神南〜天神間の乗り換えを行う場合などは、1日乗車券の利用がお得になるケースが多くなるでしょう。

一方、【七隈線の駅利用者が延伸後に博多駅〜東比恵〜福岡空港駅までを利用する場合】は、従来なら天神南=天神〜中洲川端〜祇園〜博多だったのが延伸後は天神南〜櫛田神社前〜博多と1駅分の乗車距離が短くなるため、運賃はこれまでよりも値下がりする方向になります。

以上、延伸によって導入される新たな運賃について、七隈線沿線の方に関係のある部分をざっと解説しましたが、文字だけではわからない点も多いかと思います。特に定期の利用者については延伸後の定期の購入には注意が必要(例えば七隈〜博多の普通定期を買った人が天神南で降りて天神駅で乗り換えようとすると、定期の区間外の利用になるので改札ではじかれることに)なので、交通局では定期購入の窓口でしっかり説明を聞いてほしいと話しています。

うっかり乗り換えを間違えると、損をしてしまうこともあり得ます。地下鉄ユーザーの皆さまには、新たな運賃に関する情報にもご注意を頂ければと思います。