乾燥肌か或いはじんましんか、とにかく痒(かゆ)くて眠れない夜があります、調たかしです。痒みの直接の原因が何なのかにはさほど興味はないのですが、不思議に思うのは「なんで左右ほぼ対称で痒くなるのか」です。右の脛(すね)が痒いときに、左の脛が痒くないことは絶対にありません。腕も腰も脚も同じ。ちなみに今現在は両方の肘(ひじ)の内側がとても痒いです。

さて、何だか韻を踏んだような今日の表題ですが、メディアを通じて伝わってくる情勢はとても緊迫しています。この投稿を読まれる方が理解しやすいように、ウクライナを巡る緊張の背景について私の認識を書いてみます。

冷戦の終結(1989年)を受けて、冷戦下の東側の安全保障体制であったワルシャワ条約機構(WPOまたはWTO)が解散(1991年)されましたが、西側の安全保障体制であるNATO、北大西洋条約機構はその後も旧東側諸国(チェコ、ハンガリー、ポーランド、ルーマニアや旧バルト三国など)を加盟国に迎えて、ロシア領の方面に拡大しました。そしてロシアはNATOの拡大にずっと反発してきました。

ロシアは西方の国境の大半をベラルーシやウクライナと接しています。ただ同時に、NATO加盟国のうちノルウェー、それに旧バルト三国のエストニアやラトビアとも西の国境の一部を接しています。

ベラルーシはその昔の日本語表記の地図帳には「白ロシア」と記してありました。現在もその名の通り親ロシアの国なのですが、ウクライナは親米政権であり、長年にわたってNATO加盟への意欲を示してきました。

一方のロシアにとってベラルーシやウクライナは対NATO、国の安全保障を考えた際の重要な軍事上の緩衝地帯であり、どうしてもウクライナのNATO加盟は阻止したいという事情があります。反対陣営につかれてしまうと、NATO勢力が喉元まで迫ることになり、安全保障上非常に不都合なことになるのです。

2014年2月下旬にはクリミア危機がありました。その結果、クリミア半島には現在もロシアの軍隊が駐留するなどロシア勢力下に入っていますが、この侵略の引き金になったのは2月中旬から首都キエフにおける民衆の反乱でウクライナの親ロシア政権が倒れたことでした。黒海に面したクリミア半島は貴重な不凍港を擁するため、ロシアもここだけはどうしても押さえておく必要があったのでしょう。ロシア系住民の保護という名目で軍隊を送りました。

これまでアメリカをはじめNATOの西側先進諸国は、ロシアへの配慮からウクライナの加盟希望を長らく「たなざらし」にしてきたようですが、アメリカがバイデン政権になってからは様相が変わったとロシアは捉えているようで、ウクライナをNATOに加盟させないことの確固たる保証を要求する一方で、国境地帯に兵力を集めて軍事侵攻の構えを見せています。こうしたことが今回の緊張の背景だというのが私の認識です。

昨夜テレビでみたニュース映像でも、ロシアはベラルーシと合同で実戦的な訓練を派手にやっているし、アメリカもウクライナ軍に対戦車ミサイル「ジャベリン」などを供与して使い方を指導しているし、ウクライナの一般市民も冷戦時代の地下シェルターを修理したり、射撃の練習にいそいそと励んでいるし、みんなが戦争の準備をしていました。

アメリカ政府の発した情報として、ロシアがウクライナに軍事侵攻すれば軍民合わせて8万5千人の死傷者が出るだけでなく、500万人が難民になるだろうという見立てが伝えられています。この真冬の時期に大勢の罪のない人々が家を捨ててさまよい歩く様子を想像すれば、それはどう控えめに言っても地獄絵図です。コロナ禍の極寒の空に身を寄せ合いながら、病死、凍死する人々が続発するのではないでしょうか。

大国が一方的に力でもって現状の変更を試みることは横暴以外の何ものでもなく絶対に許してはいけないのですが、核保有国同士の軍事衝突も同じくらい、あってはならないことだと言い切れます。ウクライナのNATO加盟は再度「たなあげ」にすることを前提にして、米露がともに矛を収めるしかないと思います。

民主的な主権国家であるウクライナとしては、はなはだ納得のいかないことかもしれませんが、多くの国民の命を守るために隠忍自重、NATO加盟については他日を期すという判断を仮にすれば、民は守られ、ロシアからも直ちに領土を侵されるわけではないと見受けます。かように単純にはいかない国内事情があるのかもしれませんが…。

天然ガスなどの資源をロシアに依存するドイツなどのヨーロッパ諸国の首脳や閣僚が相次いでロシアやウクライナに入り、対話による解決に努めています。どんな外交努力の余地が残されているのか、私にはわかりませんが、なんとか軍事衝突だけは回避されることを、極東アジアの島国の一角から熱願するものです。