福岡市議会では今日から令和4年度の当初議会が開かれています。今月21日まではまず、令和3年度の最終の補正予算案が審議されます。

今日は私が所属する「教育こども委員会」に付託された議案に関連して、一つ気になる話題がありますので、そのことについて投稿します。

子どもを小学校に通わせる共働きのご家庭などのために開設された「留守家庭子ども会」。コロナ禍では子どもたちに感染が広がらないようにと、関係者は常に神経を尖らせながら運営にあたっておられます。一昨年のコロナ流行第1波の一斉休校では、学校の先生方の協力も得ながら午前中から保育を実施するなど、柔軟な対応で社会経済活動の維持に貢献して頂いています。

岸田内閣は昨年12月の補正予算に、全国の放課後児童健全育成事業の従事者の処遇について、保育園や幼稚園など他の子ども関連施設の従事者と同様、月額9千円程度の改善を図るための経費を盛り込みました。令和4年2月中に賃上げを実施することを条件に、一定期間、賃上げ分の全額を国が補助します。

福岡市ではこれを活用して、保育園・幼稚園で保育や給食などに関わる職員の処遇を国が求める範囲で改善するとともに、留守家庭子ども会の「補助支援員」の方々の処遇については、時間単位で70円ほど増額する方針を固めており、必要な経費の補正を今議会に提出しています。

一方で、議案が送付された先週から今日までの間に、留守家庭子ども会に関係する処遇の改善について、窓口である教育委員会などから話を聞いてきたのですが、今回の賃上げの対象は「補助支援員」の方に限られるということ、つまりはその他の「支援員」の方が対象にならないことが分かっていました。

「補助支援員」の仕事は有償ボランティアという位置付けで、処遇については感覚的には通常のアルバイトに近い、「時間単位でいくら」という考え方になっています。

一方の「支援員(実際には総括支援員、主任支援員など細かな分類がありますが今日は説明の便宜上、単に『支援員』とします)」については福岡市の会計年度任用職員です。これは「年度ごとに契約更新される市の職員さん」だとご理解を頂ければと思います。身近な例では公民館の主事さんなどもこの雇用形態にあたります。会計年度任用職員の処遇については仕事の内容や専門性などに応じて1級から4級の「給料表」に予め規定されています。そして、このことが一つのネックになり、今回の補正には支援員さんの処遇改善は盛り込まれていません。

会計年度任用職員の処遇を改善するためには一般論として給料表を改定する必要があるのですが、公務員の給料の上げ下げについては基本的に人事院の勧告を受けて検討されるのが通常であり、教育委員会をはじめ関係部署としては、今回、国が処遇改善に取り組むことの目的や意義は理解をしつつも、直ちに給料表の改定を行うことはむずかしいと判断しているようです。

そもそも今回は平成19年から一度も処遇の改善が行われてこなかった「補助支援員」さんのご苦労に少しでも報いたいという意図が強かったようで、長年の課題が少し改善された点はよかったと思います。ただ一方で、学童保育の現場では全ての従事者の皆さんがコロナ禍によって大変なご苦労を強いられてきたことは先述のとおりです。それにもかかわらず、「支援員」さんには僅かばかりの処遇改善の果実も届かないというのでは、いささか均衡を欠きはしないかとの印象が拭えません。

また、これも先述した通りなのですが、福岡市では今回、保育園や幼稚園での処遇改善が実施されますので、同じようなご苦労やリスクを背負って頂いている学童保育に「取り残し」が生じることで、現場の士気に影響することがないだろうかということも懸念されます。

教育委員会の担当課をはじめ、市職員の雇用や処遇などに関係する部署とは何度か意見交換をさせてもらいましたが、現段階で私個人としては、今回、処遇改善が見送られる支援員さんに対して、例えば「特殊勤務手当を上積みする」といった手法で、つまりは給料表の改定によらずに手当ての増額によって対応することができないかということを考えていて、私的に提案をさせて頂いています。

今回の国の補助要件は、今月中に処遇改善を実施すること(つまり2月分の給与から賃上げをすること)となっているため、今後もし仮に私がここで述べたようなことが実行されるとしたら、福岡市が恐らく単独で予算措置するしかないのでしょう。そう簡単ではないのは分かっているのですが、会計年度任用職員という雇用形態がネックになって一部の学童保育関係者に処遇改善が届かないという事態そのものは、簡単に「仕方ないよ」と割り切れたものではないと感じます。福岡市における「支援員」にあたる方々の処遇が他の政令市ではどうなっているかや、今回の国補正によって公務員の身分を擁する学童保育関係者の賃上げが他都市では実現したのかどうかなどを調査することと併せて、重ねて検討をするよう求めていきたいと考えています。

今日は少し難解な内容になったかもしれませんが、このブログを読んでくださっている方に問題意識を共有して頂ければと思い、報告をいたしました。

今、開催されている議会では令和4年度の当初予算案の審議も行われます。気になるトピックについては時折、投稿をしていければと思います。